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BEST LIVE ダイジェスト映像&オフィシャルレポート公開!



HIGUCHIAI band one-man “BEST” tour 本人

・アーカイブ配信視聴10/5(月)迄

・グッズ(舞台装飾の欠片をアクセサリーにしてお届け)付数量限定



ヒグチアイの歌に涙して 背中を押してもらった日

ー9月24日 東京・渋谷のライブハウス Veatsにて


 9月の4連休最後の日。東京・渋谷のど真ん中、Veats Shibuyaにはピアノの鍵盤数と同じ88人のお客様。午後8時、定刻通りに会場の照明が落ちる。暗闇の中、ステージ上のLEDスクリーンが静かに美しく光って映像が映し出される中、ヒグチアイが3人のバンドメンバーと共に登場。1曲目「ココロジェリーフィッシュ」の旋律を弾き始めるさまは、さながら映画の美しい1シーンのよう。


 クラゲがふわりふわりとたゆたう水中の映像を背に、鍵盤と向き合い歌う彼女は序盤、ちょっと緊張していたのか?とも思わせるがそれもそうだろう。有観客でのライブは2月末、この同じ場所でライブを行って以来なのだから。ましてやステージから見るお客さんの姿はフェイスシールドにマスク着用、拍手でしか感動を表わせない環境で、彼女にとって初めてのような、アウェイ感のようなものを感じていたのではないか。


 しかし、同じように抱いた観客の方もいるかもしれない…そんな感覚は2曲目「前線」を力強く弾き歌った後から徐々に払拭されていく。「お久しぶりです、お元気ですか」とまず最初、全員に語りかけるように尋ねて微笑む彼女、そして「MCで何を喋ろうかとずっと考えていたんだけど…こんな感じだったっけ、ライブって?」と正直に吐露する姿。そう、見る側も含む誰しもがあの日あの場所で、ライブというものを新しく体験し直すような、そんな空気の中でのライブだったのだから。アーカイブでこれから視聴しようと思っている方はどうか、そんな最初のMC後、最後まで必ず見届けて欲しい。


 9/2リリースのベストAL『樋口愛』に沿う形のセットリスト。このALが今までの彼女の一つの集大成でもあり、これから彼女は新たにどんな世界を描いていくのかと期待を寄せてしまう1枚だとライブを見ながら改めて感じる。この日もエキゾチックな雰囲気のドレスを着こなして一見クールビューティーだが、とっても人間臭くて人間というものをとことん愛する人。そんな彼女だからこそ描ける歌詞の一つに、実妹・ひぐちけいが聞かせるニクいギターのイントロから始まった「ラジオ体操」がある。彼女の歌声は歌詞カードなどを見る必要もなく、すうっと心に入り込んでくるところがまた素晴らしい。


 素晴らしいと言えばライブが後半に差し掛かり、ALで聞いてもゾクゾクする「八月」「黒い影」と続く演奏にはうっすら鳥肌。ヒグチアイの鍵盤にベース、ドラムに加えてライブではギターも入ってスリリングに聞かせる。背面の映像と照明の効果が視覚的にも曲を盛り上げる。彼女自身、そしてバンドのメンバーたちもこの2曲を展開させた後のボルテージがかなり上がったのだろう、あとは一気に‘圧巻’の一言がふさわしいライブが続いていく。前回のライブから約7ヶ月の間、新曲は2曲ぐらいしか書けなかったと語るが、ライブでの表現力はずいぶんと増したのではないか。終盤に向けて、歌う言葉に込められる力はさらに強く、時にゆっくりと、ためるように弾く鍵盤の音も言葉をさらに引き立てる。ライブの定番曲でもあり女子たちが涙することも多い「わたしはわたしのためのわたしでありたい」「備忘録」では、マスクに吸収されていく涙粒の多さよ。この日も彼女の歌を通して叱咤激励された。


 瞬く間にベストALの全13曲、ALでもラストを飾る「東京にて」の演奏が終わる。この曲が最初に披露されたのは、まさに7ヶ月前のこの場所。あの時この曲を聞いた時から世界は全く変わってしまったが、‘きみだけの 東京にて’と彼女が歌っている通り、どんな状況や環境であれど、わたし自身はわたし自身が歩く場所をしっかり踏みつけて歩いて行こうと胸を熱くした。3人のバンドメンバーを送り出し、「ライブって、楽しいですね」と一呼吸。さて、と思ったら最後の最後にもう1曲。ライブで声は出せなくとも、ハミングならできるかなと問いかけつつピアノの弾き語り一本で歌った未発表曲は、まさにこの日この時のために生まれた歌だった。今を歌詞に反映した1曲でもあるので、それはあなたの目と耳で確かめてほしい。


 この日集まった88人のお客さんの席には、手のひらに収まるようなギフトが置いてあった。昨年の台風の被害で弾けなくなったというピアノの88個の鍵盤を一つずつ使用して手作りされたキーホルダー。さらにその中には手にした方にしか分からない秘密も隠されているらしい。手にできた方が羨ましいが、映像を通して見る方にも、当日ステージ上を彩ったドライフラワーを使ったギフトがついた視聴チケットも販売された。ほらね、本当に彼女は人間臭い人なのだ。彼女の音楽に向き合った方に対してそんなおもてなしまでするのだから。年間180本ものライブをしていた時があるというMCにも驚いたが、そんな彼女だからこそライブハウスという場所の大切さ、お客さんがいることの大切さも十二分に感じているのが発する言葉の端々から感じられた約1時間半。今回は大阪と彼女の故郷・長野の3箇所でのライブ予定が東京のこの日のみになってしまったが、この先、今の状況が改善されたら彼女はまたすぐに鍵盤を持ってライブハウスに向かうだろうし、ライブハウスからもう一歩、大きなステージに立てるな、ということも感じられたライブだった。映像でもそのスケール感を感じてもらえると思うし、それはステージを降りた彼女に対してあの人数でとは思えない万雷の拍手が起こったことが何より証明していた。その鳴り止まない大きさを増す拍手に、彼女がもう一度バンドメンバー全員とステージに上がって茶目っ気たっぷりに挨拶をして終了したのはここだけの話。あぁ、ライブって、やっぱりいいなぁ。ありがとう、ヒグチアイ。あなたの歌は、これからも、生きる希望です。

(高橋ちえ/しゃべるひと)



<SET LIST>

01. ココロジェリーフィッシュ

02. 前線

03. 東京

04. まっすぐ

05. わたしのしあわせ

06. ラジオ体操

07. 猛暑です- e.p ver -

08. 八月

09. 黒い影

10. わたしはわたしのためのわたしでありたい

11. 最初のグー

12. 備忘録

13. 東京にて

14. mmm(未発表新曲)

<BAND MEMBER>

Ba 御供信弘/Gt ひぐちけい/Dr 片山タカズミ

BEST ALBUM [ 樋口愛 ] https://www.higuchiai.com/bestalbum



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